夫婦の一方が会社経営者である場合、一般的に年収が通常の給与所得者よりも高いことが多く、その分保有する財産の額も高く、種類も広範囲にわたりやすいことから、養育費、や慰謝料、財産分与などの離婚給付が高額化する傾向にあるととともに、財産分与が複雑化しやすい点を考慮しなければなりません。
したがって、離婚にあたっては以下の点に留意する必要があります。
一般的な夫婦の離婚の場合、財産分与の割合は基本的には2分の1なのですが(2分の1ルール)、夫婦の一方が会社経営者である場合は、2分の1ルールが修正されることがありえます。なぜなら、財産を築き上げるにあたって会社経営者の個人的手腕力量による部分が大きい場合には、夫婦の貢献度合いが2分の1ずつとはいえず、そのため財産分与の割合もが2分の1ずつにならないケースがあります。他方、夫婦がともに共同経営者である場合には、原則どおり2分の1ルールが適用されるケースが多いと思われます。
また、財産分与の対象財産としては、退職金に相当する保険(例えば小規模企業共済など)についても考える必要がありますし、ゴルフ会員権や有価証券等も考える必要があります。
法人の場合
非上場の法人の場合には、利益が上がっていたり多くの資産を保有している場合、株式・出資持分の評価額が高額になる可能性がありますが、財産分与の段階でその株式・出資持分をいくらと評価するべきか難しい問題が出てきます。
算定方法の一例で言うと、純資産額を持分ないし株式数等で除して、1持分ないし1株分の額を算定して計算するという方法もあり得ます。
配偶者が役員ないし従業員の場合
会社経営者のなかには、配偶者を役員にしている場合、離婚したことのみをもって役員を退任させることはできません。
また、配偶者を従業員として雇用している場合も、同様に、離婚したことのみをもって解雇することはできません。
離婚にあたって配偶者の処遇等について合意にて退任ないし退職をするように、協議していく必要があり、その兼ね合いで離婚給付等で調整することも考えなくてはならないかもしれません。